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2020.9.25
「あたじけない」って何…?意外と知らない《東京の方言》
「あたじけない」の意味
「ケチ」や「欲が深い」という意味で使われる言葉なのだそう。東京にも方言があったなんて知りませんでした!とくに戦前までの東京で使われていたそうですが、それでも「ときどき使う人がいる」程度だったようです。また「あたじけない」はケチという意味のほかにも、「取るに足らない」という意味でも使われるケースがあるようです。
「あたじけない」言葉の由来
「あたじけない」の由来は諸説ありますが、「あたるしけなし(当たる蕪無し)」が由来となっていると言われています。「あたる(当たる)」は該当するという意味で、「しけ(蕪)」は粗末でつまらないものを意味します。これらを組み合わせると「該当するつまらないものさえない」という意味になります。言葉を紐解いてみると、本当にどうしようもない気持ちが見えてくる気がしますね。
「あたじけない」はいつだれが使っていたの?
「あたじけない」は成り立ちがよくわかっていない言葉のひとつであり、はっきりしたことは残念ながらわかっていません。ただ歌舞伎の演目から派生して当時「あたじけなすび」という洒落言葉があったそうです。この演目の初演は1676年ということですから、江戸時代初期にはすでに存在していたということになりますね。「あたじけない」は江戸っ子言葉として受け継がれ、東京の方言になったのかもしれません。
夏目漱石も使っていた「あたじけない」
あの夏目漱石が作者の『こころ』にも「あたじけない」が使われていたのをご存じでしょうか?読んだことがあるのに覚えていないという方も多いのでは。作中に「暮しは贅沢とはいえない迄も、あたじけなく切り詰めた無弾力性のものではなかった」と書かれた一文があるんです。生活は決して貧しくなかった、という意味で使われているようですね。
東京の方言を見つけるのって楽しいかも♪
「あたじけない」の意味や由来、使われていた場面などを調べるとおもしろい成り立ちが分かりますね。江戸っ子が日常的に使っていて、いまも伝わる言葉がまだまだたくさんあるかも?みなさんも調べてみてはいかがでしょうか。
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