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2022.3.30

「あなたの弟よ」障がいを抱えた弟と心が壊れた母。母との“思い出”は壊されていった…→「弟が生まれて壊れた母との18年間」作者インタビュー

障がいを抱えた弟と心が壊れてしまった母親との生活を描いた大人気マンガシリーズ、「弟が生まれて壊れた母との18年間」。 今回は作者のかっぱ太郎(@kappataro3)さんに、漫画執筆のきっかけなどをインタビューしました。

「弟が生まれて壊れた母との18年間」みどころ

きれいで優しい母親との幸せな生活を送るあさこさんでしたが、“障がいのある弟”が生まれてから、生活は一変。
母は弟に付きっきりになり、食事の用意も忘れるほどになります。

弟の心無い行動で、色々と辛い思いをするあさこさん。
しかし、母はそんなあさこさんには構わず、弟のことばかり…。


出典:instagram

そんな生活が続く中、子育ての心労からか母は次第に“情緒不安定で無気力”な状態になり、かつての面影がなくなるほど衰退していきます。

心が壊れた母、障がいのある弟、中学受験失敗でクズ呼ばわりしてくる父親…。
自分の家族に心底嫌気がさしたあさこさんの心は、中学生になる頃にはすっかり荒んでいました。

そんな折、あさこさんは“陽子さん”という1人の女性と出会います。

<弟が生まれて壊れた母との18年間#10>6
出典:instagram

陽子さんとの出会いをきっかけに、あさこさんの荒んだ心は徐々に和やかさを取り戻し、少しずつ前を向けるように。
また、あさこさんの成長やその後の決断によって、時間が止まったかのようだった“母の心”までも次第に動きはじめます。

物語後半、それまでずっと“あさこさん目線”で見てきた今までの暮らしについて、“母親目線”で振り返るシーンは圧巻!
単なる伏線回収だけでなく、母の心の奥底にあった気持ちを知ることができます。

全64話という長編にもかかわらず、飽きることなく一気に読みたくなる話の展開と、最後には心温まるような感動が待っている素晴らしい作品です。

このお話を書こうと思ったきっかけを教えてください。

「ヤングケアラー」という言葉を知り、自身の体験が誰かの参考になればと思ったからです。
漫画を描いたことはありませんでしたが、インスタグラムというツールで、絵で表現した方が伝わりやすいかと思い、漫画にしてみました。

この漫画のストーリー自体はフィクションですが、実際弟に障がいがあり、母の心が壊れてしまった時期がありました。
私自身、過去に漫画や人との出会いに心が救われたことが何度もありました。

もしその出会いがなければ、今ここにいなかったかもしれません。
でも、私は今、ここにいる。その思いをいつか表現してみたいと思っていました。

このお話はどんな読者さんに見てもらいたいですか?

もし、今、家族のことで悩み、絶望している人がいれば、家族だからといって全てを背負う必要はあるのか、考えるきっかけになればと思います。
様々なサービスや人の助けを借りることは、決して引け目を感じることではなく、むしろ活用した方が生きやすくなると考えています。

人間一人でできることには限界があります。
どうか、体や心を壊してしまう前に、ご自身の限界を知れますように。

私自身、人生や世の中の全てに絶望していた時期がありましたが、自分の限界を知ったことで、多くのサポートや良き出会いに恵まれ、現在は幸せだと思える毎日を生きています。

最後に、読者さんやファンの皆さんにメッセージがあればお願い致します!

素人漫画を読んで頂き、ただただ感謝しかありません。
本当にありがとうございます。

この作品を描いたことで、漫画を描き、人に何かを伝える楽しみを知りました。
まだまだ画力も構成も未熟ですが、これからも色々な漫画を描いていきたいと思います。

「9歳な僕ら」という新しい漫画をインスタグラムで描き始めています。
劣等感やネガティブ感情が芽生え始める9歳児を相手に奮闘する不器用な教師の話です。

こちらは完全なフィクションになりますが、「人との良き出会いが、自分自身の何かを変えるきっかけになる」というテーマで描いていきますので、こちも読んで頂ければ幸いです。

今回はかっぱ太郎さんの「弟が生まれて壊れた母との18年間」についてご紹介しました!
かっぱ太郎さんの作品にかける想いが伝わってくる内容でしたね。
かっぱ太郎さん、ご協力いただきありがとうございました!

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